金地金密輸入事犯を1088件摘発 中国からの密輸入は前年比7倍
2019/02/26
財務省は2月22日、平成30年の全国の税関における金地金密輸入事犯の摘発状況を公表した。それによると、平成30年に全国の税関が摘発した金地金(金塊に加えて一部加工された金製品も含む)密輸入事犯の件数は1088件(前年比:約20%減)、押収量は2119キログラム(前年比:約65%減)だった。摘発件数、押収量ともに減少傾向にあり、手口も小口化傾向にある。
ただ、摘発した事犯を密輸形態別件数でみると、前年は航空機旅客等による密輸入が全体の90%以上だったが、平成30年は航空機旅客等が約60%にとどまる一方、航空貨物が35%を占めており、密輸形態が多様化している。
密輸仕出地別にみると、香港(332件)、韓国(319件)、中国(224件)の順に摘発件数が多く、上位3か国・地域で全体の約8割を占めた。特に、中国からの密輸入は前年比7倍に増えている。
摘発事例は全国にまたがっており、大規模空港のみならず地方の海港・空港(清水港、宮崎空港など)でも摘発。財務省では、金密輸入に対して全国の税関で取締りを強化し、厳正に対処しているという。
なお、平成30年4月10日施行の改正関税法による罰則強化後の告発事例を見ると、平成30年7月、横浜税関は台湾から金地金約1.6キログラムを密輸しようとしたとして台湾人他2名を宇都宮地方検察庁へ告発。同年9月、門司税関は韓国から金地金約3キログラムを密輸しようとしたとして韓国人3名を宮崎地方検察庁へ告発している。
平成31年度税制改正では、金地金等の密輸に対応するため、平成31年(2019年)4月1日以後に国内において事業者が行う課税仕入れについて、密輸品と知りながら行った課税仕入れは仕入税額控除制度の適用が認められないことになる。また、平成31年(2019年)10月1日以後に国内において事業者が行う金または白金の地金の課税仕入れについて、本人確認書類の写しの保存が仕入税額控除の要件に加えられる。